教員採用試験の面接で求められていることは?
教員採用試験で、必ずといっていいほどあるのが面接です。
昨今では、特別枠という形で、社会人枠や経験者枠、非免許保持者枠などがありますが、
そのどれもに面接試験が設けられています。
また、1度だけでなく2次、3次と行うところも少なくありません。
それほどに各自治体の教育委員会は、面接を重視していることがわかります。
よく、『人柄をみている』といいますが、その人となりを数分で判断することは難しいです。
そのため、実際はもう少し絞っており、
『一緒に働いていて違和感を感じないか』ということを見ていると、筆者は考えています。
例えばですが、私が公立小学校の教員採用試験を受けたときに、面接でこのようなことを聞かれました。
(新卒で受かっているので、講師経験がない大学四年生の時のことです。)
「あなたが算数の授業をしていて、わからない子がいたとします。その時あなたはどうしますか?」
わたしは、「個別に声をかけ、どこが難しいかを聞いて、説明します。」と答えました。
すると、面接官は、
「それでもわからない場合はどうしますか?」
と聞いてきました。
わたしは、「別の解法がある場合は、それも説明し、その子にあった解き方を探ろうと思います。」と答えました。
すると、面接官はまた、
「それでもまだわからない場合はどうしますか?」
と聞いてきました。
この軽い圧迫面接のような質問に、正直、私はタジタジでした。
最終的に私は、
「その子が嫌がっていないのなら、私はなんとかその子がわかる方法を探したいと思います。
先生が教えるのを諦めたと伝わってしまったら、悲しい思いをさせますし自信もなくしてしまいます。
それでも最終的に分からなかったとしても、最後まで分かろうと努力したその子をほめてあげたいと思います。」
と答えました。
いかがでしょうか。
この回答がよかったかどうかは置いといて、
この面接官は、面接問題集にあるようなテンプレートではなく、その人の教育観を引き出せていると思います。
教員採用試験の面接の試験官は、現場の教頭や校長が担っていることは少なくありません。
だからこそ、その人が、教師として子どもにどう立ち振る舞うのかを知りたいのです。
このことを押さえたうえで面接に臨めると、少しリードできると思います。
新卒で教員採用試験の面接を受ける場合
教職一本で考えている人は、就活をしていないと思いますので、一発本番の面接でとても緊張するかと思います。
大学生の弱みは、経験がないことです。
しかし、こればかりはどうしようもありません。
期間は短いですが、教育実習で得られた/学んだエピソードは、一つはもっておきたいです。
また、もしこのページを見ているのが大学3年生以下であり、近隣の小学校で教育学部生の学習支援員を募集していたら、
週1でも構わないので、ぜひ現場に入ってください。
担任業務や教える業務はできなくとも、子どもに触れることは、とても貴重です。
学校には、どのような子がいるのかという経験がまず増えますし、ある程度一緒にいると、
「この子にはこうしてあげたい、こんなアプローチをしたい、〇〇になってほしい」といったような願いをもつようになります。
それがそのまま、あなたの子ども観、教育観を具体的なものにしてくれます。
それでも経験値は少ないことは確かです。
そのため、新卒者にアピールしてほしいのは『情熱』です。
民間の就活では、情熱を全面に押し出してもうまくいかないことはありますが、
教員採用試験では、情熱を押し出してもマイナス評価にはなりにくいと思います。
学校は、民間と違って『利益を出す』という目的がありません。
そのため、教育論文や研究で賞を取るような成果より、
『目の前の子どもとちゃんと向き合ってくれるか』を重視している管理職は多いと思われます。
『一人一人を見捨てない』『居場所がある』『いじめの早期発見』など、
自分が願う学校像、クラス像、教師像を思いいっぱいに話せるようにしておくとよいでしょう。
また、昨今の教育の話題として、
多様性や発達障害などにも触れられると、関心をもっていることをアピールできるのでなお良しです。
経験がないことは先方にも伝わっていることなので、
『実践はまだでも、知識を身に着け、自分なりの考えをもっています』ということをアピールしましょう。
教職(講師)経験があり、教員採用試験を受ける場合
講師を経験されている方は、積み重ねた経験が何よりの武器です。
自分が接してきた生の体験を話すことができることは、教員としての姿勢を伝える一番の方法です。
しかし、先方も教職経験であることを承知の上で質問をしてきます。
教師経験が1年なら1年なりの、5年なら5年なりの言葉で伝えたいものです。
おそらく、自分から発言するまでもなく、
面接官に講師経験をしてきたときのエピソードを振られるでしょう。
大変だったこと、うれしかったこと、やり遂げられたこと、様々なパターンがありますので、
過去の経験を思い返し、いろいろな場面での話ができるように準備しておきましょう。
ここで一つ気をつけたいのが、『すべてをいい話にもっていかない』ということです。
相手は教職を何十年と続けてきた面接官です。
生の子ども相手に、なにもかもうまくいくわけがないことも知っています。
きれいな話にまとめようと嘘をついたり、話をもったりすると、ぎこちなさが生まれ相手に見抜かれません。
たとえ持ちネタが失敗談であったとしても、そこにあなたならではの反省、
願いや想いがあれば、相手に響くものがあるはずです。
また、経験を語るだけで終わるのでなく、
これからも子どもたちのために〇〇したい、子どもと一緒に〇〇していきたい、そんな熱意を伝えてほしいと思います。
面接でみられる能力
それはコミュニケーション能力です
他業種でも重要視されますが、教職員も例にもれません、。
職場内にいて、先輩か同僚とうまくやっていけるかは、管理職としても気になるところです。
そんなときのコミュニケーション能力の一つの指標が『人に頼る力』です。
教職というのは、その職の性質上、一人で完結させがちな人が多いです。
自己流で! ぐらいならまだしも、トラブルが起こった時に一人で抱え込んでしまうようなケースは、大問題に発展しかねません。
今のあなたの年齢が若くてもそうでなくても、『困ったときには素直に人に助けを乞いますよ』というアピールは、管理職に有効です。
誰かと協力して物事にあたるというのはリスク回避の上で非常に重要であり、面接官から見て、同僚にしたいかのポイントとなります。
『何をやっているかわからないスーパーマン新人』より『多少不出来でも、トラブルを教えてくれる新人』の方が管理職はありがたいのです。
教員採用試験の時期の変更
令和5年の5月末日に、文部科学省が教員採用試験の時期の早期化について文章をだしました。(元の文章はコチラ)
これは、大学生の教職の受験者数を少しでもあげるための政策です。
時期が早まった関係で、採用倍率は若干上がると思われますが、問題ありません。
教員免許を持った人が滑り止めで受ける人や記念受験をする人がいるぐらいで、
もし、それらの人が受かったとしても教職に就くことは、ほとんどないことが予想されます。
というのも、このシステムは、『先に他で受かってしまうから、教職の志願者が増えないのでは?』
という、ヘンテコな理由で始められるからです。
はるか昔の『でもしか先生』の時代ならまだしも、今はどこも人手不足の時代です。
教職は、情熱がない人が続けられる職業ではありません。
民間と違い、頑張ったところで、給料は上がらないのです。
とすれば、なんちゃってで受験した人は、合格しても辞退する人が多いと考えられ、
実質的な倍率はほとんど変わらないと言ってもよいのではないかと思います。
本サイトのこのページを見ている方は、本当にやる気をもって見ている方だと思います。
小手先の政策による、見てくれの数字に騙されず、
自分の熱意を存分にアピールして、いい先生になれるように頑張ってください。
応援しています!